公的支援など

離婚後、不安を一人で抱えないで。公的支援の活用

離婚後にひとりで子どもを育てていくのは、とても大変なことです。そのような厳しい状況をサポートしてくれるさまざまな公的な支援がありますので、ぜひ積極的に活用しましょう。各種の要件を満たせば、次のようなさまざまな公的支援を受けることもできます。
なお、支給金額は変わる場合があります。

■公的支援

[経済]
・母子父子寡婦福祉資金貸付金
・生活福祉資金貸付制度
・女性福祉資金貸付制度
・応急小口資金

[住居]
・母子生活支援施設
・公営住宅への入居の優遇
・サポートセンター等
・ホームヘルパーの派遣

[生活]
・ひとり親家庭に対する医療費補助制度
・乳幼児医療費助成制度
・JR通勤定期の割引
・税金の軽減
・水道・下水同料金の減免

[就職]
・自立支援教育訓練給付金
・高等職業訓練促進給付金事業

■経済的な支援制度・手当

[児童扶養手当]
・支給金額/子どもの人数、受給資格者の所得によって異なる。

子どもの福祉の増進が目的で、地方自治体から支給される手当です。父母の離婚で、父または母と生計を同一にしていない子どもにとって、養育されている家庭での生活の安定と自立の促進の一助となります。
児童扶養手当の支給要件として、「配偶者からの暴力(DV)により裁判所から保護命令が出された場合」も支給されます。
児童扶養手当を受給するためには、居住する市町村(特別区含む)への申請が必要です。

[児童手当]所得制限あり
・支給金額
(1)0歳~3歳未満の子供について・・・1万5,000円
(2)3歳から小学校終了前の子どもについて・・・第1子・第2子・・・1万円
第3子以降・・・1万5,000円
(3)中学生・・・1万円
(4)所得制限の限度額以上の世帯については、特例給付として、一律月額5,000円が支給されます。

0歳から中学校卒業まで(15歳に達した日以降最初の3月31日まで)の子どもを養育する親等に対して支給されます。
子どもを複数で養育している場合、子どもの生計を維持する程度が高い者に支給されます。別居中の両親で生計を同一にしていない場合には、生計を維持する程度にかかわらず、子どもと同居している親に支給されることになります。なお、児童手当を受給するためには、居住する市区町村への申請手続が必要です。

■心身障害のある場合の支援・手当
[特別児童扶養手当]所得制限あり
・支給金額
(1)1級の場合・・・5万2,500円
(2)2級の場合・・・3万4,970円

精神または身体に障害を有する20歳未満の児童の福祉増進を図る目的で、その児童を養育している父母等に対して支給される国の手当です。

■障害児福祉手当
・支給金額・・・月額1万4,880円

特別障害児の福祉向上を図ることを目的に、障害のため必要となる精神的・物質的な特別の負担の軽減の一助として、支給されます。精神または身体に重度の障害があり、日常生活において常に介護が必要な在宅の20歳未満の児童に支給されます。
特別児童扶養手当及び障害児福祉手当を受給するためには、居住の市区町村の窓口への申請が必要です。母子家庭などを対象とした児童扶養手当と名称が似ていますが、別の制度です。そのため、それぞれの要件を満たせば両方受給することも可能です。

[生活保護]

厚生労働大臣が定める基準の最低生活費と収入を比較し、世帯全体の収入が最低生活費に満たない場合は、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。

[就業支援]
就学援助とは、経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、市区町村が必要な援助を与えるという制度です。主に義務教育課程の小中学生に対して、学用品費、通学用品費、修学旅行費等の一部が援助されます。

■経済的な支援制度

[母子父子寡婦福祉資金貸付金]
20歳未満の子どもを扶養しているひとり親家庭に対して、就労や就学などで資金が必要な場合に、貸付を受けられる制度です。母子父子寡婦福祉資金貸付金 は、事業開始、就学、就職、医療介護などがあります。
利子と返済期間は、貸付金の種類によって異なりますが、無利子~3%の低金利であり、で3年~20年という長期の返済となっています。

[生活福祉資金貸付制度]
福祉を目的としており、母子家庭はもちろんのこと、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯で、条件にあてはまれば、借りることのできる無利子・低金利の福祉貸付です。

[女性福祉資金貸付制度]
女性対象の貸付制度で、親、子、兄弟姉妹を扶養しており、その他条件を満たせば事業、医療、就学支援に必要な資金の貸付を受けることができます。

[応急小口資金]
低所得世帯を対象としており、病気、給与の盗難・紛失、火災等の被災などで緊急に資金が必要となった場合、その資金を無利子で貸してくれる制度です。

■就職に関する支援

[自立支援教育訓練給付金]
ひとり親家庭で経済的な自立を支援するため、その能力開発の取組みを支援するものです。20歳に満たない児童を扶養し、児童扶養手当の支給を受けているまたは同等の所得水準の場合が対象です。対象となる教育訓練を受講し、修了した場合、経費の60%(下限は1万2,001円、上限は修学年数×20万円、最大80万円)が支給されます。

[高等職業訓練促進給付金等事業]
母子家庭の母、または父子家庭の父が看護師や介護福祉士等の資格取得のため、原則として1年以上養成機関で修業する場合に、修業期間中の生活費の負担軽減を目的とする制度です。児童扶養手当の支給を受けているか、または同等の所得水準にあること、養成機関において原則として1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること、仕事または育児と修業の両立が困難であることなどが受給要件となります。

■住居などに関する支援

[母子生活支援施設]
18歳未満(必要な場合は20歳に達するまで)の子どもを養育している母子家庭、または何らかの事情で離婚届けが出せないなど、母子家庭に準じる家庭の女性が子どもと一緒に利用できる施設です。ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者保護の一時保護施設として母子生活支援施設の利用が多くなっており、DV被害者の保護から自立を希望する女性の支援なども行っています。

[公営住宅への入居の優遇]
住宅に困っている母子・父子世帯に対して、公営住宅の入居募集の際に優遇される制度です。入居の際に一般世帯より優遇や優先されるなど、母子家庭や父子家庭への配慮を行っています。

[サポートセンター等(各種協会などによる)]
保育施設の開始前や終了後に子どもを預かったり送迎してくれたり、学校の放課後や学童保育の終了後に子どもを預かってくれる等のサポートをしてくれます。また、子どもが軽度の病気の場合の病児保育などもあります。

[ホームヘルパーの派遣]

中学生以下の児童のいるひとり親家庭が対象となるヘルパー派遣です。親または児童の一時的なケガや病気等の事情により、家事や日常生活における援助が必要な場合に、ホームヘルパーを派遣する制度です。所得に応じて自己負担分が生じます。

■生活に対する補助・優遇制度

[ひとり親家庭に対する医療費補助制度]
ひとり親家庭の父・母または養育者、子どもが病院などで診療を受けた場合に、医療費の自己負担分を補助してくれる制度です。なお、申請者および扶養義務者の所得制限があります。

[幼児医療費助成制度]
自治体が保険診療にかかる乳幼児の医療費の自己負担分を助成する制度です。所得制限等の要件がありますが、基本的には誰もが受けられる制度です。

[JR通勤定期の割引]
児童扶養手当や生活保護を受けている世帯の人が受けられる制度です。JRを利用して通勤している場合は、通勤定期乗車券を3割引で購入できます。

■税金の軽減
母子世帯では所得税や住民税の軽減措置が受けられる場合があります。控除には所得制限があります。詳細は居住地域の市区町村で確認をしてください。

[水道・下水道料金の減免]
児童扶養手当、生活保護を受けている世帯については、水道料金、下水道料金が申請により免除・減額される減免制度があります。

[粗大ゴミの処理手数料の減免]
児童扶養手当、生活保護を受けている世帯では、粗大ごみ処理手数料の減免を受けられる制度があります。

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