離婚後に請求できる可能性があるもの

離婚を急ぐあまり、さまざまな条件を決めないまま離婚してしまうことがあります。そのような場合でも下記の内容については、離婚後に請求したり、合意内容を変更することができる可能性があります。

[財産分与]
離婚の成立から2年以内であれば、離婚する時に財産分与をしていなかった場合でも、財産分与の請求ができる可能性があります。

[慰謝料]
離婚の成立から3年以内であれば、離婚の際に慰謝料を決めていなかった場合でも、離婚に関する慰謝料を請求できる可能性があります。
ところで、離婚の際の慰謝料については、厳密には以下の2つに分類されます。
(1)不倫・暴力といった離婚に至った原因行為から生じる精神的な苦痛に対するもの
※精神的苦痛の原因となる行為を知ったときから3年以内に請求する必要があります。
(2)離婚をすることそれ自体から生ずる精神的な苦痛に対するもの

一般的に(1)と(2)は厳密に区別されないので、離婚の成立から3年以内なら請求が可能です。しかし、厳格に両者を区別して判断される場合もあるため、できるだけ早く請求をしましょう。

[養育費]
将来の養育費については、離婚後も請求することができます。ただし、裁判上、過去の養育費の請求そのものは認められないことが多いです。ただ、過去の養育費の不払いの事実を考慮して将来の養育費の金額が増額されることはあります。
●養育費の額を変更できる場合
養育費の額を決めたときには予想できなかった事情の変化があった場合、養育費の金額の変更ができる場合があります。
<例>子ども(母)=養育費を受ける側 父=養育費を支払う側
(1)母親の収入が減った
(2)母親または子どもの重大な病気やケガ
(3)子どもの進学による教育費の増加
⑷父や病気になり失業した

[年金分割]
原則として、離婚した日の翌日から2年以内であれば請求できる可能性があります。

[監護権者の指定・親権者の変更]
子どものために必要がある場合は、離婚後に監護権者を決定したり、

離婚の際に定めた親権者をもう一方の親への変更するよう請求することができます。
具体的には、以下のような事情が考えられます。
(1)子どもが親権者や監護権者に虐待されている
(2)親権者や監護権者が養育に熱意がない
(3)子どもが親権者や監護権者の変更を望んでいる

親権者の変更は裁判所の手続きが必要ですが、監護権者は話し合いで変更が可能です。しかし、変更には子どもの利益が最優先となり、厳密な理由が必要になります。

[面会交流]
離婚後であっても、子どもとの面会交流を求めて、面会回数・方法等の取り決めをすることができる可能性があります。
子どもが未成年の場合、面会交流の内容を決定する期限はありません。

●面会交流の変更ができる場合
子どもの利益のために必要があると認められた場合、面会交流の方法を変更、または面会交流自体を取りやめることが認められる場合があります。

以上のように、離婚後であってもさまざまな請求できる場合がありますが、時効が決まっているものや、手続が複雑なものもあります。
ほかにも事情により請求できる場合もあります。
一人で悩まず、弁護士にご相談ください。

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