子どもが出来ないということで離婚はできるのか?

2017年の統計では、不妊を心配したことのある夫婦は35%、実際に不妊治療を受けたことのある夫婦は18.2%という結果が出ています

まず、離婚というものは、お互いが合意さえすれば離婚理由に関係なく離婚が成立するものです。

いかなる離婚理由であっても、双方が離婚に同意し、離婚届に署名・捺印を行い役所に提出すれば、その時点で離婚は成立します。これは「協議離婚」と言い、日本でもっとも一般的な離婚の方法です。

もし、協議離婚双方の合意がなければ、調停を利用して離婚する「離婚調停」に進むのが多いでしょう。基本的には調停委員という第三者を交えた話し合いになりますので、こちらも双方の合意さえあれば、離婚できます。離婚調停とは、それぞれが調停委員と面談し、調停委員を仲介し離婚するか・しないかを決めていく方法です。

協議離婚、離婚調停でも解決しなければ、離婚裁判に進む方が多いでしょう。

離婚裁判での離婚は、法廷離婚事由に該当していることが条件になってきます。

そのため、裁判で離婚する場合は、不妊だけを原因として離婚を主張しても認められない可能性があります。例えば、「僕は子どもが欲しいが不妊の原因が妻にあり、治療を行っても改善しない。だから別れたい」というような理由で夫が妻に対して訴訟を起こしたとしても、認められないということです。

では、法廷離婚事由とはどのようなものがあるのでしょうか。民法770条の法廷離婚事由によれば、「不貞行為」「悪意の遺棄」「配偶者の生死が3年以上不明」「配偶者が強度の精神病患者で回復の見込みが無い」「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」の5つが記載されています。

ただ、「不妊がきっかけとなり夫婦関係が破綻した」証拠あれば、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚が認められるケースがあります。

「不妊であることがわかってから夫婦間で喧嘩が絶えない」「不妊であることが原因で長らく別居をするようになった」などの場合です。

また、セックスレスに不妊の原因がある場合、程度やセックスレスに至った経緯、改善の態度などによっては離婚が認められる可能性があります。

不妊治療が長くなればなるほど、子どもに対する希望や熱量が落ちてしまうケースもあります。妊娠のために性交渉をするのが苦痛でセックスレスに陥ったり、心身共に疲れてしまうなどです。その場合、普段の生活にも影響が出てくるでしょう。ひどい場合は、精神疾患を患ってしまうこともあるかもしれません。

本来であれば、お互いの希望である妊娠のため、出来ないとなれば、精神的な負担もより大きいものとなるでしょう。

もしかしたら、もう一方は希望を捨てていないため、苦痛に感じている性交渉をしようと積極的にアピールしていれば、夫婦関係が余計に悪化する原因にもなりえます。

中々難しい問題ではありますが、出来ない原因がわかっていてもいなくても、一度夫婦で話し合い、今の自分の心身の状態や、子どもについて、もし子どもを諦めるとすれば、どのようなときにするのか、諦めた場合里子をもらうのか、今の生活、その後の生活について話し合い、お互いの思いや、希望の方向をすり合わせると、もしかしたら心の余裕もできるかもしれません。

不妊治療に専念することで、夫婦間の会話や行動がすべて不妊治療のためになることも多いでしょう。知らず知らずのうちにそれが負担となり、精神的にも身体的にも不調があらわれ、負のスパイラルに陥ってしまうかもしれません。

もちろん加齢によりリスクが高くなるため、1日1日を無駄にできないという気持ちもあるでしょう。

しかし、一度夫婦関係に大きな溝が入ってしまうと、妊娠できたとしても夫婦関係の悪化が続き最終的に離婚を選択してしまう可能性もあります。

一度、不妊治療や妊娠から離れて夫婦の時間をもってみてはいかがでしょうか。結婚を選択されたとき、様々な思いがあったと思います。相手を大切にしたいと思い、結婚されたときの感情をもう一度思い出すことが出来たのならば、お互いの状況や気持ちを考え、お互いが寄り添いあえるのであれば、離婚ではなく、夫婦関係の構築に気持ちを切り替えてもよいでしょう。

不妊を理由に離婚を決意した場合、以下の2つのことについて知っておきましょう。

女性は離婚してから再婚するのに100日(約3ヶ月)の禁止期間があります。

不妊で離婚した場合、年齢のことも考え再婚を考えている人も多いと思います。その際、女性には100日の再婚禁止期間がありますので注意が必要です。

また、「不妊」は一方のせいではないため、不妊を理由に慰謝料請求は難しいでしょう。ただし、生殖器の障害などを隠したまま結婚し不妊に至った場合、離婚できる余地があり、更に慰謝料も請求できる可能性もあります。

生殖器の異常などは、なりたくてなったわけではないので、中々開示しづらいものですが、相手がそれを知らず、子どもを望んでいれば、開示する必要が出てくることは理解できると思います。結婚や離婚は人生の中で大きな決断と転機となりえます。誠意をもって向き合い、お互い話し合いをしていきましょう。

離婚解説書TOP

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

YouTube配信中
元気が出る離婚弁護士 森上未紗のチャンネル 離婚の知識や解決事例など配信中!