親権放棄ってできるの?

離婚するとき、親権を争っていると耳にすることは多い反面、親権をなくしたい、手放したいと考える方もいるかもしれませんね。

親権とは、権利であると同時に義務でもあります。未成年の子どもは、親の監護なしでは生活を維持することも、教育を受けることもできません。子どもが一人で生きていくことは難しいので、義務という形にもなっているのですね。

法律では、820条がそれに当たるでしょう。

(監護及び教育の権利義務)

第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

親権は子どもの福祉にとって非常に重要な意味を持つため、たとえ親権者と子どもの間で合意があったとしても、親権の放棄は容易に認められるものではありません。

ただ、やむを得ない場合は、親権の放棄が認められる場合もあるようです。

親権を手放す方法

親権を手放すための手続きや、方法は、家庭裁判所に申し立てをして、認められることが必要になってきます。

その手続きの種類は、主に2つあり、ひとつは「親権の辞任」もうひとつは、「親権者の変更」になります。

親権の辞任

まず「親権の辞任」から説明しましょう。

親権の辞任が認められるための法律は、【民法第837条第1項】に記載があります。

(親権又は管理権の辞任及び回復)

第八百三十七条 親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。

2 前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。

ただ、子どもの親権者が存在しない事態になることはできません。

【民法第838条第1号】にて、後見人を立てる必要があります。

第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。

一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。

二 後見開始の審判があったとき。

また、【民法第837条第2項】に記載のとおり、親権を手放すことがやむを得ないとする事由が消滅したときは、家庭裁判所への申し立てによって親権の回復も可能となるようです。

親権者の変更

そして、もうひとつが「親権者の変更」です。

民法では、819条の第6項に記載があるようです。

(離婚又は認知の場合の親権者)

第八百十九条

6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

おそらくレイプ被害にあった際に出来た子どもや、震災孤児などが、子どもの出来ない家庭に養子に入る場合などにこれらが適用される場合もあるでしょう。

最初に記載したように、親権の辞任・親権者の変更は、どちらも家庭裁判所での手続木の上、認められることが必要になってきます。子どもの福祉への影響が最も重視されます。

対象となっている子どもが15歳以上であれば、親権で争う場合と同様、家庭裁判所が子ども本人の意見を聴き、その意見も判断の一部となることでしょう。

最終的に、親権の辞任、親権者の変更が認められた場合には、役所に届け出をし、戸籍上の手続きを行いましょう。

親権の辞任や親権の変更では、「やむを得ない事由」という言葉が複数回出てきています。

この「やむを得ない事由」とは、なににあたるのかをみていきましょう。

・親権者が失業するなど、子どもの生活や教育を守るだけの子どもの福祉が得られないほどの経済状況である場合はやむを得ない事情となります。

ただ収入が少ないからという端的な理由のみでは認められません。

経済的に苦しい状況なのはなぜなのか、どのような打開策を行ってきたのか、これ以上策はないのか、このような点も含めて判断されることになるでしょう。

・重度の精神疾患や後遺障害が残る大きな怪我、病気など、子どもの育児ができない状態に陥った場合も、親権の辞任が認められる可能性があります。

・親権者が罪を犯して懲役・禁錮などの実刑判決を受け、長期に渡って刑務所に服役することになった場合は、物理的に子どもの養育ができなくなります。

単独親権者が服役する場合は、親権辞任の「やむを得ない事由」として認められる可能性があるでしょう。

全てにおいて、子どもにも感情があり、心の痛みを伴うものであるということを考えた上で、親権放棄を考えましょう。

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