最近は、離婚する家庭も多いのが現代となってきています。
もし、子どもがいる場合、その離婚の影響を受けるのは、どちらとも血の繋がった子どもでしょう。
離婚して全く影響を受けない子供はいません。これは、親である以上、必ず覚えておいていてほしいことです。すぐに影響は出なくても、成長とともになんらかの形でその子の人生に影響を与えることになるでしょう。
ケンブリッジ大学の社会発達心理学を専攻する研究者「マイケル・ラム」は、離婚が子どもの成育にマイナスの影響を及ぼす要因を5つあげています。
・非同居親と子どもとの親子関係が薄れること
・子どもの経済状況が悪化すること
・母親の労働時間が増えること
・両親の間で争いが続くこと
・単独の養育にストレスがかかること
どれも子どもとのコミュニケーションがとりづらくなり、身体的・精神的な負担が増えるであろう状況ですね。また、コミュニケーションが取りづらい状況というのは、身体的・精神的な負担に気付きにくいという悪循環の元も出来てしまっています。
主なストレスは以下のものになります。
1:成績や社会的地位の低下に繋がる
2:精神的なトラブルも増加する
3:子どもの思う家庭が別のものに変わってしまう
4:物や人への愛着を失う
5:放棄される恐怖を感じる
6:両親の間の敵意を感じとり孤独になる
離婚は子どもにとって「両方の親から捨てられる」という不安を感じさせるようです。そのストレスから日常生活に集中できなくなり、将来的に学業成績の悪化や、未熟な精神の状態で受けたストレスは、成人後の社会的地位にまで影響すると言われています。
家族がバラバラになることで、生活環境など全てが変わることによるストレスも大きいようです。子どもによっては、落ち着いてくる場合もありますが、様々なストレスが重なった結果、長期化し、そのまま大人になってしまうこともあるようです。
ひとり親家庭になれば、親は養うために働きに出る必要があり、家庭での仕事、食事時間、就寝時間などの変更された日課に順応しなければなりません。
また、それまで当たり前だった友人との関係や家族との接点を失った事によって、家庭の温かみというものを感じなくなる可能性があります。
両親の離婚によって、愛情という概念に疑問を持ち始める可能性があります。それは心の苦しみを生み、ストレスとなるでしょう。
もし、両親が毎日喧嘩などをして緊張状態が続いていた場合、子どもの居心地は悪くなっていくでしょう。自分は何もできず、もどかしい気持ちは、不安を増長させ、混乱させます。
また、子どもを味方に付けようとしたり、他方の親への反抗を強要させることは、子どもに混乱を生じさせていじめを誘発するような成長をしてしまう可能性があります。まだ成長過程であり、身体的にも精神的も未成熟だということを念頭に置きましょう。
精神科を受診した子ども約400人を対象として調査したところ、親が離婚した子どもは、一般の子どもと比べて、患者数が約2倍というデータもあります。
このような親の離婚でデータとして、影響が出ているものは、以下の4つも該当します。
・子どもが結婚した際の離婚率が約3倍になる
・子どもの喫煙率も約48%増加
・何かしらの依存症になる可能性が高い
・老化現象が平均よりも早く訪れる
最後に年齢別での影響も観ていきましょう。
【0歳~2歳までの乳幼児期の影響】
様々な問題で離婚になると思いますが、離婚の際、「子どもが父親の記憶を持たないうちがいい」と考える方もいます。
シングルマザーになれば、子どもを育てるために働く時間を優先する場合も多くなりがちだと思います。0~2歳というのは、子どもが少しずつ生を受けたこの世にあるものの認識を増やしていく年齢です。大きくなれば理解するわけではなく、この時に受けるべき親からの愛情が十分でないと、養育上あまり良くないのです。
ある研究で、赤ちゃんは衣食住が揃っていれば成長するという仮定を作り、赤ちゃんと接するときは、全く声もかけず、無表情で淡々と行う実験がなされました。結果は、そのすべての赤ちゃんが亡くなってしまったそうです。
中々時間を作るのは難しいかもしれませんが、子どもと向き合う時間も作っていけるよう、周りにも協力を求めていきましょう。
【3歳〜6歳の就学前の影響】
この時期の子どもは社会性を身につけだし、自分と他人を区別するようになります。そこで友達には父親がいるのに自分にはいないことに気が付き、疑問を持ち始めるでしょう。
質問をされたら、どのように答えるべきか、事前に決めておきましょう。子どもだからとその場しのぎの嘘は控えましょう。子どもを余計に傷つけてしまいます。
【7〜18歳の青年期の影響】
この時期の子どもは、両親の離婚によって苦しんでしまう場合と、すんなり受け入れて立ち直れる場合に別れます。
多感な年ごろになりますので、様子を見つつ、お互いの意見を言える機会を作ることが出来るといいですね。