面会交流とは、子どものいる家庭が離婚した場合、親権がどちらかの親にのみ移されることとなります。基本的に子どもは新権のもつ親の元で過ごしますが、親同士の離婚は、子どもには関係ありません。離婚しても親子であることは確かなので、頻度や内容はそれぞれですが、面会交流という名目で、親子が会える仕組みがあります。
面会交流は子どもの持つ権利で、DVなど心身もしくは生命に危険がある場合を除き、養育費を支払わないことや元パートナーに離婚原因があったことなどは関係ありません。
離婚の際に取り決めを行ったにもかかわらず拒否し続けると、場合によっては訴訟に発展したり、親権を変更されたりする恐れもあるので気を付けましょう。
面会交流を拒否した場合、4つのマイナス面があります。
1:家庭裁判所に履行勧告される
電話や書面などで、裁判所から指導を受けることになります。この履行勧告には強制力はありませんが、無視することで別の法的手段を受ける可能性があるので注意が必要です。
2:間接強制をされる
面会交流の取り決めに違反するごとに、おおよそ5~10万円の制裁金の支払いが命じられ、これを支払わなければ別途の手続きで給料などを差し押さえられる恐れがあります。
拒否1回に対して制裁金100万円とした判断も出されていますので、制裁金は5~10万円でおさまらない可能性もあります。
3:損害賠償請求をされる
面会交流の拒否で受けた、子供に会えない精神的苦痛に対して、慰謝料の支払いを求める、損害賠償請求をしてくるケースもあります。
慰謝料は、精神的な苦痛に応じた賠償を金銭で支払うことになるので、一概にいくらとは言えません。
間接強制との違いは、間接強制は、取り決めを履行しないことに対する制裁金で、履行すれば支払いをする必要はなくなりますが、慰謝料は精神的苦痛に対して金銭で賠償をすることなので、その後の面会交流の有無に関わらず、下された支払い命令に応じる必要があります。
4:親権者の変更がされる
親権者である母親が、子どもがいるにも関わらず夜間の仕事や職場の男性と不貞行為をしていたり、保育園の行事などへの参加に消極的、保育料を支払わない側面があり、父親と比較して育児のサポートを頼れる相手がいないなど養育環境に不安があるとの理由で、親権が男性側に移った例があります。
もし面会交流を拒否する正当な理由がある場合には、別途家事調停(面会交流調停)を申し立てて面会交流をするかしないか、その頻度などについて、話し合いを設けるべきでしょう。
面会交流は、双方の話し合いで、内容や頻度を決定していくのですが、お互いの希望がすれ違ってしまう場合、家事調停を申し立てることで面会交流の可否、方法について話し合いをしていくことになります。
1面会交流調停
調停委員という第三者を交えて、面会交流の条件などを話し合います。第三者がいることで冷静に落ち着いて話し合いができるでしょう。
あくまでも話し合いなので、強制力はありませんが、公式な話し合いになるので、なにかあったときに、この話し合いでの決定が出てきます。
2審判
裁判官が双方の意見、子どもへの態度などを調査し、最終的な判断を下すものです。この場の判断に不服がある場合は、高等裁判所へ不服申し立てができます。
基本的に面会交流は子どもの権利のため、親権者はこれを実施しなければならないのですが、「子どもを連れ去る恐れがある」「子どもを虐待するおそれがある」「子どもが強く拒絶している」「面会交流時の約束事を守らない」など、拒否する正当な理由があれば、拒否できる場合があります。
ただし、覚えておいていただきたいのは、裁判所は基本的には面会交流を実施する方向で検討するということです。
残念ながら、面会交流を拒否できない理由の中に相手のモラハラがあります。モラハラだけを理由として、面会交流を拒否しても、それだけで直ちに面会交流が中止されるわけではありません。モラハラはあくまで親同士の問題であって、子どもには直接関係ないというのが、面会交流を拒否できない理由になるようです。
しかし、相手のモラルハラスメント行為が、親権者による面会交流への協力を阻害するという判断をされた場合や、子供の生育に悪影響となると判断される場合は、面会交流が一定の限度で中止・制限される可能性はあります。