相手の借金で離婚。慰謝料の請求は可能??

パートナーの借金や浪費が原因で離婚になる場合、今まで返済などで苦しめられた分、慰謝料を支払って欲しいですよね。

でも、借金を背負っている人間に慰謝料が支払えるのか?と不安になってしまうと思います。実際に、相手が慰謝料の支払いに合意していたり、裁判所が慰謝料の支払いを命じても、相手の支払い能力がない場合には、慰謝料を回収することが難しくなってしまうこともあります。

今回は、少しでも慰謝料の支払いを確保するためにできることについてお話をします。

慰謝料が認められるケース

相手が慰謝料の支払いに合意してくれれば良いのですが、そうでない場合、裁判所に慰謝料の請求を認めてもらう必要があります。

パートナーの借金や浪費で慰謝料が認められるのは、パートナーの借金や浪費が原因で離婚となり、相当な精神的な苦痛を受けたと判断された場合です。

借金や浪費が離婚の直接の原因であることやこれにより精神的苦痛を受けたことを認めてもらうための借金や浪費の証拠が必要になります。現状、手元にないとしても、弁護士会や裁判所を通した調査を行うことで、借り入れやクレジットカードの明細などを取得できる可能性があります。

ただ、仮に裁判で慰謝料の支払いが命じられても、相手に財産がなければ、回収ができません。費用だけかさみ、思ったような金額を手に入れられない可能性があることは、十分に検討した上で手続きを進めていく必要があります。

それでもこれからの人生しっかりと前を向いて生きていくためにも、少しでも多く支払ってもらいたいですよね。

回収を可能にするための方法として、以下のようなものが考えられます。

支払い能力が乏しい相手から慰謝料を取得する方法

・慰謝料の代わりに財産分与を多めにしてもらう

相手に支払い能力がない場合、財産分与として慰謝料分を考慮して多めにもらう方法があります。

相手に借金があったり浪費があるケースでは、多くの場合、財産分与の対象となる貯蓄をしているのは、他方の配偶者です。

借金や浪費を繰り返している配偶者にも、財産分与を受ける権利はあるため、裁判所が判断する際には、他方の配偶者ががんばって貯めてきた貯蓄等も2分の1ずつに分けるという判断をする可能性があります。そうすると、他方の配偶者は、借金や浪費で散々迷惑をかけられた上に、財産を分けなければならなくなってしまいます。

せめて、慰謝料分を考慮する等してこの財産分与を支払わなくて済むように、事前に弁護士に相談をした上で、交渉の進め方について作戦を練るようにしましょう。

・扶養的財産分与(ふようてきざいさんぶんよ)を請求する

相手の浪費や借金が大きな原因となり、離婚する際に財産分与がまったくないというケースもあります。そのようなときには、離婚後も一定の支払いを受け、一定の生活水準が保てるようになるまでのフォローという意味合いで、この扶養的財産分与を行うことがあります。

慰謝料に代えてこの扶養的財産分与の請求をすることで、実質的に慰謝料分の支払いを受ける方法も考えられます。

・分割払いや連帯保証人をつける方法で合意する

相手に一定の収入がある場合には、分割払いの合意をして、支払いを怠った場合には、残額を一括で請求できるように合意をすることがあります。

その場合、あまり合意してもらえるケースはないですが、支払い能力の高い人に連帯保証人になってもらうことができると、支払いを確保できる可能性が高まります。

・給料等の差し押さえをする

慰謝料について、裁判所の書類や公正証書という書類で合意しておくことで、相手が支払わなかった場合に、迅速に「強制執行」という方法をとり、給料等を差し押さえてることができます。

注意すること

相手の借金や浪費癖で離婚に至る場合、注意しておく点があります。

婚姻中に貯めた財産は、基本的に夫婦共有の財産となります。名義に関係なく財産分与として公平に分配することになるのです。公平にと言ってしまうと聞こえはいいですし、普通の離婚の場合は受け入れられるでしょう。

ただ、借金が原因の場合、さんざん浪費したり借金で苦しめられた相手とも財産を分けることになる可能性があります。何度借金をしないでと言っても借金を繰り返し散財してきたパートナーから、今後の生活費、子どもの学費、老後の資金として、苦労して貯めてきた貯金まで、公平に分配することを請求され、これに応じなければならないかもしれないのです。

借金や浪費を考慮して財産分与の割合を決めている裁判の例もありますが、財産を分ける割合を2分の1ずつと判断する裁判官もいます。可能性として考慮しておく必要はあるでしょう。

 

相手の借金や浪費で離婚を考えている場合には、まず、相手の今までの浪費によってできた借金額に関する記録を証拠として集めておきましょう。

また、離婚するまでにこれ以上財産を浪費させないためにも、徹底的に管理しておきましょう。

その徹底管理が難しい場合は、専門家に相談してみてください。その状況に応じた対応方法を提案してくれるはずです。

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