浮気は犯罪になる??

相談に来られた方から「浮気は犯罪ですよね?」と聞かれることは少なくありません。

確かに、昭和初期までは姦通(かんつう)罪の定めがあり、不貞行為は犯罪として扱われ、江戸時代では両者死罪の重罪だったようです。また、当時は、被害者の夫が妻の不貞現場に立ち会った場合、妻と肉体関係を持った相手を殺害しても罪に問われなかったようです。この姦通罪は、第二次世界大戦後の昭和22年刑法改正によって廃止になりました。
現代でも、この姦通罪と同様の制度がある国は残っているようで、ナイジェリア、フィリピン、アメリカの一部等では犯罪になるようです。また、イスラム国家では、昔の日本のように重罪として扱われていて、死刑になる場合もあるようです。

しかし、現代の日本では、不貞行為は「違法行為」ではありますが、犯罪行為には該当せず、罰金や懲役といったような罰も与えられません。
違法行為=犯罪と思われがちですが、「犯罪」は刑法等の刑罰が定められている法律を犯している行為になります。
不貞行為の場合、刑法等で刑罰の対象にはなっておらず、民法上で配偶者の権利を侵害する行為として、不法行為にはなり得るのです。
これは、以下の民法709条、710条に記載があります。

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
他人の権利ないし利益を違法に侵害する違法行為になります。

現在の日本の法律上では、「不貞行為」は、①被害者側からの離婚請求が認められる離婚事由と②慰謝料(損害賠償)請求の対象となる違法行為にはなりますが、犯罪にはならないということです。

ただ、不貞行為については、日本でも昔は犯罪行為であったことや、現在も犯罪行為として扱っている国があることからも、被害者の精神的な苦痛が相当なものであることがわかりますよね。

浮気の証拠

注意しなければいけないのが、今の日本で被害者に認められている離婚請求や慰謝料請求をするときに、証拠が大切ということです。
相手が認めればよいのですが、認めない場合には、裁判所に判断してもらう必要があります。そのときには、証拠がないと、被害者の請求が認めてもらえないのです。
以下のようなものがあると良い証拠となるでしょう。

・浮気相手とパートナーが、ラブホテルに出入りしている写真や動画
・パートナーと浮気相手の肉体関係があることがわかるLINEのやり取りや手紙
・パートナーと浮気相手の肉体関係があることがわかる写真

慰謝料請求の流れ

慰謝料の簡単な請求手順としては以下の通りです。

1、まず証拠を集めましょう。証拠を集めていることが相手に知られると証拠を隠されてしまいます。ばれないように集めましょう。

2、証拠を集めた後、離婚をするのか、しないのか、これからをどうしていくのかを決めましょう。

3、弁護士に相談しましょう。もちろん証拠の集め方がわからなければ、証拠を集める前に弁護士に相談することも可能です。弁護士から、良い探偵を紹介してもらうことも可能かもしれません。

4、最終的にどのような方法で請求するのかを決めていきましょう。話し合いで決められる場合もあります。

不貞行為は、犯罪行為にこそなりませんが、パートナーを裏切る行為となり、相手の心を傷つける行為となります。
もし婚姻関係を結んだ相手以外と結ばれたい場合は、きちんと手順を踏んだ上で結ばれましょう。

 

離婚解説書TOP

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

YouTube配信中
元気が出る離婚弁護士 森上未紗のチャンネル 離婚の知識や解決事例など配信中!