結婚?婚姻?事実婚の違いは?

男女が夫婦関係になるときには、「結婚」という言葉がよく使われますが、似た意味で、婚姻、入籍、事実婚、内縁関係という言葉も耳にします。

世間一般的には、「結婚」という言葉が最もよく使われていますが、民法上では、「婚姻(こんいん)」という言葉が使われています。
意味は、どちらも一緒で、男女の婚姻意思が合致して夫婦になることをいいます。

婚姻や入籍は、役所に婚姻届を提出して夫婦となることを指し、こちらを法律婚とも呼びます。
対して、婚姻届を出さないが、事実上婚姻意思が合致している結婚のことを事実婚、内縁関係といいます。

婚姻関係を結ぶことで生じる義務

法律上、婚姻関係を結んだ場合は、当事者にいくつかの権利や義務が生じます。
事実婚の場合であっても、法律上の婚姻関係に準じるものとして、大部分の権利や義務について法律上の婚姻関係と同様に認められています。

夫婦関係について、日本国憲法では、以下のように記されています。

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

民法では、以下のように記されています。

(婚姻の届出)

第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

また、結婚することを入籍と表現する方も多いと思いますが、入籍は厳密には他人の戸籍に入ることを意味します。

まとめると、婚姻とは、婚姻意思が合致して夫婦になることを指し、その婚姻の中に結婚と言われる法律婚と、事実婚があることになります。

法律婚をするための条件

法律婚をするためには、いくつか条件があります。

・婚姻適齢であること

(未成年者の婚姻についての父母の同意)
第七百三十七条 未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
2 父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。

・重婚ではないこと

(重婚の禁止)
第七百三十二条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

・近親婚ではないこと

(近親者間の婚姻の禁止)
第七百三十四条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
2 第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。
引用:民法

(直系姻族間の婚姻の禁止)
第七百三十五条 直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第七百二十八条又は第八百十七条の九の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。
引用:民法

(養親子等の間の婚姻の禁止)
第七百三十六条 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。

・再婚禁止期間を過ぎていること

(再婚禁止期間)
第七百三十三条 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

法律婚をするためには、この4つの条件に当てはまっている必要があります。

結婚による生じる義務

法律婚でも事実婚でも、結婚により生じる義務が3つあります。

・相互扶助義務夫婦間で助け合い生活をする相互扶助義務や一緒に生活をする義務

(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

・生活費分担義務資産や収入に応じて生活費、医療費、教育費などを分担して負担する義務

(婚姻費用の分担)
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

 

・貞操義務婚姻関係にある夫婦は、配偶者以外の者と性的関係を持ってはならないと考えられています。不貞行為とはこの貞操義務に違反する行為のことです。

(裁判上の離婚)

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

 

簡単に結婚といってもそれが法律上どのような状態になるのか、把握しておくことも必要かもしれませんね。

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