親権争いは母親が有利なのか?

離婚時には、父か母のどちらが離婚後に子どもの親権を持つのかを決めなくてはなりません(令和5年9月現在)。
親権の獲得は母親が有利と言われています。実際に、厚生労働省の統計でも、母親が親権を獲得するケースが約9割とされているようです。

なぜ、母親が有利と言われているのか、その理由について解説していきます。

まず、親権を父母どちらも希望していて、争うことになった場合、調停や裁判といった裁判所の手続きで決めることになります。

裁判所が親権の判断をする際に重視することは、それまでの監護実績と言われています。子どもとどれだけ一緒の時間を過ごしているか、子どもの日常生活の支援にどの程度関与してきたかということです。

日本でも、共働きの家庭が増えているものの、まだまだ、父親は仕事をメインにかんばり、母親が仕事をセーブして家事や育児を主に担っている家庭が多いように思います。
その結果、父親よりも母親の方が、子どもと一緒にいる時間が長くなり、親権の判断に関して有利となる傾向があります。

監護実績は、以下のようなことで判断されます。

・子どもの食事や必要な弁当は誰が作ってきたのか、
・子どもと食事を共にする機会は、どれぐらいあったのか
・子どもが病気をしたとき、ワクチンなどの予防接種、健康診断への付き添いなどは、誰がしていたのか
・お風呂に一緒に入った回数は?どちらのほうが多いのか?
・勉強や遊びに付き添っていたのは、どちらが多いのか?
・保育園や幼稚園、学校、学習塾等とのやり取り、送り迎え、イベント行事に参加していたのは誰なのか?

子どもの日常生活を共にしていることで、子どもとの精神的なつながりが強いと考えられます。その結びつきが強い方が親権を取得して一緒に生活をしていくことで、子どもが精神的に安定して生活していくことができ、子どもにとって望ましいと考えられるのです。

監護実績の他にも、以下のような要素が考慮されます。

子どもの意思

15歳以上の子どもについては、父母のどちらに親権を取得して欲しいのか、意向が確認がされます。
15歳未満でも、自分の意見をしっかりと伝えられる年齢になっていると、意向が確認されて、その意向が尊重されます。

子どもを監護ができる環境が準備できるか

特に子どもの年齢が低い場合、親権を獲得しても、子どもとの時間が少なくなるようだと、不利な方向で考慮される可能性があります。そのため、子どもと一緒に過ごすために転職を予定している、両親の援助があり、子どもと一緒に過ごせる予定であることをアピールすることも大事です。
また、環境の変化で影響を受けてしまう子どももいますので、可能な限り、環境を変えることなく、子どもの監護を継続できるようにすることも必要です。そのようにできる場合には、親権を獲得する上で有利なポイントとなります。

面会交流に関する考え

裁判所は、基本的に、親権者でなくなる親と子どもの面会交流が、子どもの利益になると考えています。
そのため、虐待等の特別な事情がない限り、相手と子どもの面会に関する許容性がある方が、親権の判断においては有利に考慮されます。

親の健康状態

子どもを適切に監護していく上で、身体や心が健康であることも重要です。
ただ、婚姻生活中に精神的に追い詰められてしまい、うつ病になってしまう方も少なくありません。そのような場合でも、お子さんの監護に支障がない場合には、不利な要素として考慮されることはあまりありません。

この他に、経済状況が影響するのではないかと気にされる方も多いですが、専業主婦やパート勤務の方が経済面で不利に考慮されることはこれまでの運用からは考えにくいです。

親権の問題は、争いになってしまうと、子どもも含めた当事者全員にとって、とても大きな精神的な負担がかかります。
特に、親権に関しては、弁護士に相談をした上で、方針を決めることをお勧めします。

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