保護命令の申立てができる条件と流れ

保護命令の範囲は、身体的暴力と生命・身体に関する脅迫のみになっています。そのため、モラハラ(精神的暴力)や性的暴力に対して申立てを行うことができません。

しかし、モラハラといっても脅迫(殺す・死ね・殴るなど)が含まれる場合は申立てが可能です。

また、保護命令申立は、婚姻関係(事実婚関係を含む)または同棲関係の継続中、暴力や生命に関する脅迫(死ね・殺すなど)を受けていた場合であって、将来的に身体的暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合に限り申立て可能とされています。

以下の要件がいずれも満たされる必要がありますので注意しましょう。

申立人と相手方が婚姻関係、事実婚関係、同棲関係のいずれかにあること
相手方による暴力行為又は脅迫行為が①の関係継続中に行われたこと
将来的に身体的暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと
したがって、相手と交際関係にあっても同棲関係に至っていない場合には①の要件が満たされず、接近禁止命令の申立てを行うことはできません。

また、婚姻関係・事実婚関係・同棲関係継続中には暴力や脅迫がなく、同関係が終了した後に暴力や脅迫が開始された場合も②の要件が満たされませんので、接近禁止命令の申立てはできません。

そのため、上記のような場合で、現在相手から暴力行為や脅迫行為を受けているという場合は接近禁止命令による解決ではなく、暴行・脅迫について警察に被害申告して刑事事件として立件してもらい刑事的な解決を目指すのが適切でしょう。

自分の状況で保護命令を申立てられるのかどうか不安な場合は、申立ての前に弁護士に相談することをおすすめします。

保護命令手続きから発令までの流れ

上項の保護命令を発令してもらうために、どのような手続きを行えばいいのか紹介します。まず下の図をご覧ください。

①申立て事前準備

申立てを行う前に、まず以下のような下準備が必要になります。

警察またはDVセンター (配偶者暴力相談支援センター)へ相談する
申立書を作成する際に、DVセンター(配偶者暴力相談支援センター)や警察などの機関に相談したという事実が必要になります。
そのため、一度も相談したことがない人は申立てる前の準備として相談してみることをおすすめします。

警察への相談⇒相談ホットライン「#9110」
DVセンターへの相談⇒配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設一覧
一度でも相談したことがある場合は、すぐに申立てを行っても問題ありません。また、警察やDVセンターへの相談をしていない場合、公正役場で宣誓供述書を作成してもらうという方法もあります。

宣誓供述書を作成する

宣誓供述書を作成するには、当事者(保護命令を申し立てる人)が作成した文書(相手から受けた身体的暴力・脅迫の内容)を公証役場に持って行きます。

その後公証人に対し、記載内容が事実であることを証明した上で、出される証書に署名・押印します。

署名・押印により、公証人は当事者が事実と証明したことを承認します。これは、当事者が記載内容の事実を証明したとして、強い証拠力を持ちます。

②保護命令の申立て

申立てをする際は以下の書類が必要になります。

申立書2部(正本・副本):申立書|裁判所(記入内容)
戸籍謄本及び住民票(法律上夫婦の場合)
相手と同棲している事実を証明する資料(法律上の夫婦ではない場合)
身体的暴力・脅迫されていた証拠

裁判所や、申し立てる状況によって必要な書類が変わってきますので、あらかじめ裁判所に確認することをおすすめします。

申立て費用は以下の通りです。

申立て手数料(収入印紙):1,000円
予納郵便切手:2,500円
予納郵便切手内訳

全部で切手が51枚必要になりますので、そろえる際は枚数に十分気を付けましょう。

③口頭弁論・審問

保護命令を発令する前に、口頭弁論または審問を行います。これは相手から意見や事情を聞くためのもので、審問は申立てから1週間前後に行われます。
ただし、緊急を要する事情がある(生命的な危険があるなど)と判断された場合は、口頭弁論や審問を行わず命令が発生します。

④保護命令発令

保護命令は、審問の際に直接相手に言い渡しますが、相手が審問に来なかった場合、決定書が家に送られます。

送達の場合、相手がしっかり受け取ったか不安になりますよね。しかし、このような書類は『書留送達』という方法で届けられるため、相手が受け取り拒否をした場合でも送達済みとして、保護命令の効力が発揮されます。

まとめ

保護命令は自分や子供・親族を守るだけでなく、命令が出ていないときより警察に協力してもらいやすくなります。それにより、身体的・精神的なストレスが大幅に減少するでしょう。

DVにより大きなけがや精神的な病気になる前に早めの保護命令申立てと離婚をおすすめします。離婚をする際は離婚問題の解決に注力している弁護士に相談すると自分で行うよりスムーズに進めることが可能です。

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