接近禁止命令とは?

2018年の司法統計によれば、離婚調停において離婚を希望した女性のうち、実に20.8%が夫の暴力を離婚理由に挙げています。
配偶者からの暴力行為等のDVにより、生命又は身体に重大な危害を受けている場合、身の安全を確保するための手段の一つとして、接見禁止命令という制度があります。
この記事では、接近禁止命令で禁止できることや申立て方法、接近禁止命令の延長方法などの基礎知識を解説します。

接近禁止命令とは?

接近禁止命令とはDV防止法で定められている、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護等に関する保護命令の1つを指します。
保護命令は、大きく分けて二つあります。
被害者への身辺への「つきまとい」や「はいかい」を禁止する接近禁止命令(と、同居する住居からの退去を命じる退去命令です)。
身体的暴力や生命・身体に対する脅迫をしてくる配偶者の接近を禁止する、という制度です。

接近禁止命令の具体的な内容

接近禁止命令は、被害者の申立てにより、保護命令の効力が生じた日から6ヶ月間、被害者の住居又は職場の付近をはいかいすることを禁止することを、加害者である相手方に命じるものです。

禁止できる2つの行為

・身辺の付きまとい
・住宅・勤務先・常在している周辺へのうろつき

また、接近禁止命令は申立て本人のみ有効であるため、子供への接近や実家への押しかけは禁止できません。
そのため、メールや電話で接触されたり脅迫されたりする可能性があります。
また、接近禁止命令は申立て本人のみ有効であるため、子供への接近や実家への押しかけは禁止できません。
もし、そのようなことに対して禁止したい場合は、接近禁止命令以外の保護命令を追加する必要があります。

接近禁止命令だけでは禁止できないこと

被害者(配偶者)への接近禁止命令だけでは、相手が電話・メール等を送る行為、相手が申立人の子どもや親族へ接近する行為(連れ去りや嫌がらせ等の暴力)から守ることができません。
そのため、電話やメールで生命・身体に対する脅迫を受けていたり、子どもの連れ去りの危険があったり、申立人の親族宅に押し掛けるおそれがあったりする場合には、別途、電話などの行為を禁じたり、子どもや親族等へのつきまといやはいかいを禁止する接近禁止命令について申立てる必要があります。

接近禁止命令に期待できる効果

保護命令に違反した場合は、下記の通り罰則があることから、相手へのけん制ないし抑止力となります。

また保護命令が発令された場合、その内容が地方裁判所から警察や配偶者暴力相談支援センターへ通知されます。
これにより関係機関からの迅速な対応を期待することができます。

なお配偶者暴力相談支援センターに通知をしてもらうには、申立の前に事前に支援センターに相談していること等が必要となりますので、不明点がある場合は申立て前に支援センターの方に相談してみましょう(DV防止法12条1項5号イ~ニ)。

違反した場合の罰則

接近禁止命令に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)29条)。
なお、他の保護命令に違反した場合も同様に科されます。

接近禁止命令の申し立てが可能な対象者

相手方とどのような関係でも接近禁止命令ができるわけではありません。
接近禁止命令の申立ての可否については、厳格な要件が定められています。

接近禁止命令の申立ては、婚姻関係(事実婚関係を含む)または同棲関係の継続中、暴力や生命に関する脅迫(死ね・殺すなど)を受けていた場合や、将来的に身体的暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合のみ申立てできます。

以下の要件がいずれも満たされる必要がありますので、注意しましょう。

①申立人と相手方が、婚姻関係・事実婚関係・同棲関係のいずれかにあること
②相手方による暴力行為または脅迫行為が①の関係継続中に行われたこと
③将来的に身体的暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと

また、「婚姻関係・事実婚関係・同棲関係の継続中には暴力や脅迫がなく、同関係が終了した後に暴力や脅迫が開始された」という場合には、②の要件が満たされないため、接近禁止命令の申立てはできません。

そのため、上記のようなケースで「現在相手から暴力行為や脅迫行為を受けている」という場合には、接近禁止命令による解決ではなく、暴行・脅迫について警察に被害申告して刑事事件として立件してもらって刑事的な解決を目指すのが適切でしょう。

 

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