接近禁止命令を行う4つの手順

前回の記事「接近禁止命令とは?」の続きです。
接近禁止命令は、主に以下のような流れで発令されます。

ここでは、接近禁止命令(保護命令)の申立て方法について解説します。

1.DVセンターか警察に相談(DVの場合)
2.接近禁止命令の申立て
3.口頭弁論・審問
4.接近禁止命令の発令

事前準備として、まずはDVセンター(配偶者暴力相談支援センター)または警察に相談をしましょう。
「このような機関に相談した」という事実が必要になります。
もし「相談経験がない・相談以外の方法が良い」という場合は、公正役場に行って宣誓供述書を作成する必要があります。

次に接近禁止命令の申立です。接近禁止命令は、申立人もしくは相手方の住居地または暴力・脅迫が行われた場所を管轄している裁判所に申し立てます。
また、接近禁止命令以外の保護命令も一緒に申し立てることが可能です。

申し立てる際は、以下の書類を揃える必要があります。

・申立書2部(正本・副本)
・戸籍謄本及び住民票(法律上の夫婦である場合)
・相手と同棲している事実を証明する資料(法律上の夫婦ではない場合)
・身体的暴力・脅迫を受けていた証拠

申立てに必要な費用は以下の通りです。

・申立て手数料(収入印紙):1,000円
・予納郵便切手:2,500円

手続きには何枚も必要になりますので、買い間違いや買い忘れがないように気を付けましょう。

口頭弁論・審問では、暴力や脅迫の真偽について相手側の意見を聞きます。
裁判所は、この意見を聞いて接近禁止命令を発令するかしないかを決めます。
ただし、緊急を要する事情がある場合(身体や生命に危険がある場合など)には、口頭弁論・審問を行わずに接近禁止命令を発令させることもあります。

最後に接近禁止命令の発令です。
接近禁止命令は、基本的に口頭弁論や審問の際に直接言い渡されます。
しかし、相手が口頭弁論や審問に来なかった場合には、書留送達で相手宅に決定書が送られます。
書留送達で送る際に相手が受け取りを拒否したとしても、送達したことになり、効力が発揮されます。

接近禁止命令に関する注意点

・接近禁止命令が発令されない場合がある
・相手が命令を守らない場合もある
・街中でばったり遭遇した場合は罪に問えない
・発令から時間が掛かってしまう場合もある

接近禁止命令が発令されない場合がある

裁判所は、接近禁止命令を発令する法律上の要件を満たすかどうかを証拠に基づき判断します。
そのため、申立書だけでなく、客観的な証拠が必要です。
客観的な証拠が不十分な場合は、接近禁止命令が発令されず、接近禁止命令が発令されない可能性があります。

また、仮に証拠があったとしても、申立てから数ヶ月前の暴力に関する証拠のみであり、現時点で暴力を受けている等の証拠がない場合、将来生命・身体に危害を受けるおそれが大きいとは言えないとして、申立てが認められない可能性もあります。

さらに、接近禁止命令を含む保護命令は、精神的なDVに対しては適用の対象外となってしまっています。
この点については内閣府の「女性に対する暴力に関する専門調査会」も保護命令の対象を拡大すべきと提言しており、法改正が待たれるところです。

相手が命令を守らない場合もある

違反すると罰則の適用がある接近禁止命令が発令されたとしても、相手方が罰則を恐れない場合は、命令を守るとは限りません。
接近禁止命令の発令後も、うかつな行動は避けるべきです。

身の危険を感じたら、警察に連絡してください。接近禁止命令が発令されると、裁判所から管轄の警察本部長又は警視総監に連絡がいくことになっています(DV防止法15条3項)ので、迅速に対応してくれるでしょう。

街中でばったり遭遇した場合は罪に問えない

「偶然町中で会ってしまった」という場合には、相手を罪に問うことができません。
ただし、偶然遭遇したことをきっかけに、声をかけられた・付きまとわれた・以降何度も会う等の場合には、接近禁止命令に違反している可能性がありますので、警察または弁護士に相談しましょう。

発令から時間が掛かってしまう場合もある

申立人の生命や身体に危険があるため、接近禁止命令は基本的に優先的に処理されますが、状況によっては、もう一度裁判所に呼ばれたりしてなかなか発令されないこともあります。

医師の診断書がある場合でも、診断内容が軽い打ち身・切り傷・かすり傷などの場合には、判断が遅くなる可能性が高くなります。

最後に

もし接近禁止命令が出ているにもかかわらず相手に付きまとわれた場合には、罰則として100万円以下の罰金または1年以下の懲役が科せられますので、警察または弁護士に相談することをおすすめします。

警察に相談をする場合には刑事事件として、弁護士に相談をした場合には民事事件として処理を進めるのが通常ですが、一番大切なことはいまの状態を脱却することではないかと思います。
弁護士に相談して、裁判所で民事保全などの手段を講じることまでしなかったとしても、代理人弁護士として窓口にはなってくれるでしょう。

もちろん、「偶然町中で会ってしまった」という場合には、相手を罪に問うことができません。
ただし、声をかけられた・付きまとわれた・何度も会うなどの場合には、接近禁止命令に違反していることになりますので、警察または弁護士に相談しましょう。

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