養育費とは,子どもを監護していない親が,子どもの生活のために支払う費用です。

厚生労働省が行った平成28年度全国ひとり親世帯等調査の結果によると,養育費の支払いを受けたことがない世帯は,母子家庭の56%,父子家庭の86%に及びます。その理由は,「相手と関わりたくない」が最も多くなっていますが,「取り決めの交渉をしたが,まとまらなかった」,「相手から身体的・精神的暴力を受けた」といったものもあります。

養育費の支払いをきちんと受けられるかどうかは,子どもの生活の質に直結します。 そのため,正確な知識を得た上で,慎重に判断・行動する必要があります。

養育費の決め方

養育費の金額や支払い方法は,当事者間で協議をして決めることができます。協議で決まらない場合には,裁判所の調停や審判の手続きで決めることができます。

当事者間の協議で決める場合には,公証役場で公正証書にしておくことをお勧めします。その理由は,養育費が任意に支払われない場合に強制執行をすることになるのですが,その場合に当事者が作成した書面よりも公正証書の方が手続きが簡易だからです。裁判所の調停や審判で決定した場合には,裁判所が作成した書面には公正証書と同様の効力がありますので,公正証書を作成する必要はありません。

養育費の金額

基本的に,当事者が合意をすれば,養育費の金額は自由に設定できます。裁判所が決める際には,次の養育費算定表に掲載されている算定表を使用して金額が決められるのが原則です。子どもの人数,年齢,請求する側(権利者)と支払義務を負う側(義務者)の収入を算定表に当てはめてみることで確認できます。

基本的な養育費に加え,医療費(歯科矯正費等)・教育費(私立の学費や塾代等)などの加算が認められる場合があります。

養育費を請求できる時期

養育費の支払いの対象となる子どもは,未成熟子,つまり,自立して生活できない子どもです。離婚後であっても,子どもが未成熟子でなくなるまで,養育費の請求をすることができます。なお,親が「養育費の請求をしない」という合意してしまっていても,子どもは養育費を請求できるとされています。

養育費の終期

基本的に,当事者が合意をすれば,養育費の終期も自由に設定できます。裁判所が決める際の養育費の終期は,未成熟子と言えなくなるまでです。原則としては,20歳になるまでとされることが多くなっています。

しかし,子どもの学力や経歴,親の経歴等から大学進学することが通常と言える場合には,大学卒業までとされることがあります。逆に,高校を卒業して働き始めた場合には,高校卒業の時点で養育費の対象ではなくなります。

履行確保の手段

給与,預貯金,不動産などの財産を差し押さえる直接強制という手段や,養育費を支払わない場合には1日遅れるごとに●円支払え等と裁判所が命じる間接強制という手段があります。また,裁判所の調停や審判で取り決めた場合には,履行勧告(裁判所が支払いを勧告する制度)や履行命令(裁判所が支払いを命じ,支払わない場合には10万円以下の過料も課される制度)等の手段もとることができます。