日本では、母子家庭の貧困問題が未だに深刻となっており、母子家庭の半数以上が貧困状態にあると言われています。このような現状の主要な原因のひとつは、養育費の支払いを受けられていない母子家庭が多いことにあります。
継続的に養育費を受け取っている母子家庭は全体のわずか4分の1程度であり、残りの4分の3は養育費を受け取っていないのです。

養育費を受け取っていない人は、2つのタイプに分けられます。自分の意志で受け取らない人受け取りたいが受け取ることができない人です。

養育費を受け取らない場合の注意点

自分の意志で受け取らない人は、養育費を受け取ることで、元配偶者と関係が継続することや養育費を払う代わりに子どもとの面会を要求されることを嫌がり、このような選択をするケースが多いです。
このような決断をするときに注意して欲しいことが2つあります。

過去分を遡って請求可能か?

養育費について取り決めを行っていない場合、過去分を遡って請求することが困難になるということです。
養育費を受け取る権利は、子どもを養育していく親だけではなく、子どもの権利でもあります。子どもが将来、自分のやりたいことを見つけたときに、お金のことがネックとなってしまうようなこともあるでしょう。そのようなときに、しっかりと養育費を受け取っておくことが、子どもの将来を変える可能性もあるのです。
自分の気持ちをないがしろにしないことも大切ですが、感情に任せて子どもの権利を軽視してはいけません。養育費を受け取らないという決断をする際には、その選択が子どもに及ぼす影響をよくよく考える必要があります。

子どもの面会に応じる必要があるか?

養育費をもらったからといって、子どもの面会に応じなければならないわけではないということです。
確かに、養育費を支払う側は、子どもの成長のために支援をしているのだから、成長した姿を確認させてほしいという気持ちを持つことが多いでしょう。逆に、養育費を支払わない人から面会を要求された場合には、養育費を支払わないくせに面会の権利ばかり主張するのはいかがなものかという感情を持ってしまいます。
しかし、法律上、養育費と子どもの面会には、どちらかを行ったからといって他方が義務付けられるというような関係性にはありません。

離別した親との面会は、子どもが自分の出生について把握したり親からの愛情を感じたりすることで、子どものためになるものとして一般的に推奨されていますが、子どもに悪影響を及ぼすような場合には、必ずしも面会に応じる必要はありません。
養育費を受け取るかどうかについては、必ずしも面会とセットで考える必要はありません。面会に関しては、元配偶者と関わりたくないという自分の感情のみに焦点を当てるのではなく、子どもの成長や将来を見据えて検討する必要があります。

養育費を受け取りたいけれども受け取ることができない人の場合、手段を尽くせば養育費の支払いを受けることができる可能性があります。
法律相談や弁護士への依頼については、法律扶助制度を利用することで、経済的な負担を抑えることができるケースもあります。以下の内容を確認して、可能性があると感じたら、まずは弁護士に相談してみましょう(弁護士への問い合わせの際、法律扶助を利用したい旨を伝えると、法律相談を無料で受けることができる可能性があります。)。

養育費の金額等について合意ができない場合

裁判所の調停という制度を利用することで、第三者を介して、協議をすることができます。相手と直接交渉をするわけではありませんので、相手と話をすることに強い抵抗や恐怖を感じてしまう方でも利用が可能です(裁判所に同じ時間にいることも耐えられないような場合には、弁護士に依頼して、裁判所への出頭を弁護士に任せることも可能です。)。

また、調停で取り決めを行うためには当事者の合意が必要になるのですが、合意できない場合には、「審判」という手続きに移行し、裁判官が養育費の金額を決定してくれます。

不明な点については、近くの家庭裁判所で確認したり、弁護士に相談してみると良いでしょう。

・相手の居場所・連絡先がわからない場合
協議を行う場合や裁判所の手続きを利用する場合には、相手方の住所地等の情報が必要になります。
しかし、離婚して数年たってしまうと、音信不通となってしまい、このような情報を取得することも困難なことが少なくありません。
そのような場合には、弁護士に依頼することで、住所地を把握できる可能性があります。

・合意はあるが支払いが滞った場合
相手の就業先や預金等の財産内容がわかれば、給与や預金等を差し押さえて養育費を確保できる可能性があります。
就業先がわからない場合でも、住所地を特定し、探偵などに依頼して就業先を特定する方法もあります。

・相手に収入や差し押さえ可能な財産がない場合
残念ながら、このような場合には、養育費を支払いを受けることが困難となってしまいます。
しかし、養育費について取り決めをしておけば、5年間分は遡って養育費の請求が可能となります(民法169条)(裁判所の手続きで養育費について決めた場合には、遡ることができる期間が10年になります(民法174条の2)。)。そのため、取り決めだけはしておき、将来的に相手に資力がついた等して請求が可能となった段階で請求ができるようにしておくことをお勧めします。

子育てや仕事に追われて、養育費の請求まで手が回らないというような状態の方も多いかと思いますが、そのような生活を改善させるためにも、まずは弁護士に相談してみましょう。