子どもへの悪影響を懸念して離婚を思いとどまる夫婦は少なくありません。子どもが自立したから離婚をしたいという方のご相談もよくお受けします。一方で,夫婦喧嘩が絶えない親に育てられた結果,結婚に希望が持てなくなってしまった方の話も聞くことがあります。

そこで,子どものために離婚しないという決断をすることが,みんなにとって良いと言えるのか,検討するポイントを5つご紹介します。

1.離婚する際の子どもの心情

子どもの年齢や性格,両親との関係などによって,離婚により家族がばらばらになることが子どもに与える影響は異なります。 別居後に子どもと面会した際に,子どもから「あっちのおうちに一緒に帰ろう。」,「みんなでごはんが食べたい。」などとお願いされ,辛い思いをされた方もいらっしゃいました。

しかし,喧嘩が絶えなかったり,会話がないような夫婦関係を子どもの前で続けることで,子どもたちが精神的な負担を負うことも考えなければなりません。

また,配偶者と険悪な状況にあると,ストレスから気力がなくなっていることもあります。そのような状態では,活き活きとした姿を子どもに見せることができません。

子どもが大きくなった後に,「あなたのためを思って,私はあのときこのような決断をしたんだよ。」と言えるように,十分に子どもの心情を考えられると良いのではないかと思います。そのような余裕がなくなってしまっている場合には,周囲の助けを借りてみましょう。

2.離婚の子どもの性格への影響

子どもが,育った環境の影響を受けることは広く認識されています。当然,影響は良い面だけではありません。虐待やDVが子どもに連鎖してしまったり,虐待やDVの影響で子どもが精神的な病気で長年苦しむ可能性があります。そこまでいかなくとも,嫌だと思っている配偶者の影響を強く受けてしまう可能性があります。

3.離婚後の経済力の心配

子どもの為に離婚を思いとどまっていた相談者の方のお話でもっとも多いのは,経済的な理由です。子どもを大学に行かせたいから,ちゃんとした生活をさせてあげたいから,そういった思いで経済力のある配偶者との離婚を思いとどまる方は少なくないと思います。

日本は,まだまだシングルマザーやシングルファザーが働くために,会社の制度や社会的資源が整っているとは言えません。そのため,経済的な困難を想定してしまうことは致し方ない部分があるといえます。

しかし,この問題については,資格を取得して正社員になってから離婚する,実家で当面生活させてもらえるようにするなどの方法があります。また,シングルマザーやシングルファザーを支援する団体や就業斡旋の会社等,頼ることのできる資源もあります。また,離婚の協議の結果,もらうことができる養育費や財産分与の金額によっては生活の目途が立つかもしれません。

これらの資源を使ってこの問題を解決できないか,検討してみてみる価値はあるかと思います。

4.周囲からの見られ方

ごくまれではありますが,「離婚をしたら,子どもが結婚するときに支障になりかねない。」などと,周囲からの見られ方を気にして離婚を拒否する方がいます。確かに,離婚をした人に対して,偏見を持っている方もいることは否定できません。

しかし,3組に1組が離婚すると言われている中,そのような偏見を持っている方は昔に比べて減っていると思いますし,そのような偏見を持っている方を気にする必要性があるのかもよく考えてみる必要があります。もちろん,子どもが周囲からの言動で傷つかないように配慮することや,何かあったときにはフォローすることは大切です。

5.再婚の可能性

厚生労働省が発表した統計によると,夫妻とも再婚またはどちらか一方が再婚の割合は全体の4分の1以上になっているようです。 離婚直後はもう結婚はこりごりといっている方でも,数年後には幸せそうに再婚の報告をしてくれます。

もちろん,再婚相手による虐待の事例などもありその点には十分に注意が必要ですが,ステップファミリーとして幸せに生活されている方も数多くいます。一度きりの限られた人生ですので,幸せな再婚の生活や新しい家庭での子どもの安定した生活の可能性があることも忘れてはなりません。