離婚は、協議や調停で成立することがほとんどですが、その際、当事者同士が離婚することに合意している必要があります。
しかし、当事者同士が合意できない場合には、裁判で離婚が認められない限り離婚できません。離婚は人生の一大事ですので、当事者の意思ではなく、第三者である裁判所が決めることはあまり望ましくないという考えもあります。

そのため、裁判上の離婚原因は5つに限られています。

その5つのうちのひとつが、「配偶者に不貞な行為があったとき。」(民法770条1項1号)です。不貞な行為とは、婚姻関係にある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の人と性的関係を持つことを言います。

Q 金銭の授受を伴う売春行為も不貞な行為に当たるのでしょうか。

 不貞な行為が離婚原因として列挙されている理由は、夫婦間の貞操義務を守らず、裏切る行為は許されないという点にあります。
 恋愛感情のない売春行為だとしても、貞操義務を守っていないことには間違いがなく、基本的には不貞な行為に該当するといえます。
 ただし、夫婦関係に影響を及ぼす事項として問題とされた形跡がないなどとして、不貞な行為とみとめなかった裁判例もあります(東京地判平成25年3月22日)。

Q たった1回の行為も不貞な行為に該当するのでしょうか。

  貞操義務を守らなかったという事実は、行為の回数に左右されるものではありません。そのため、1回の行為でも不貞な行為に該当します。
  ただし、回数が非常に少ないことが明らかとなった場合には、裁判所が一切の事情を考慮して、婚姻の継続を相当と認める可能性はあります(東京地判昭30年5月6日参照)。

Q 同性と性的関係を持つことも不貞な行為に当たるのでしょうか。

  同性との性的関係については、不貞な行為に当たらないものの、他の離婚原因である「婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当するという考え方があります(名古屋地判昭47年2月29日)。

Q 他方の配偶者が不貞な行為を許した場合にも離婚事由になるのでしょうか。

  相手方が不貞な行為をいったん許した事実を認定し、不貞な行為を離婚原因として主張することは許されないと判断した裁判例があります(東京高判平成4年12月24日)。
  しかし、この相手方が承諾していたという主張はなかなか認められることがありませんので、注意が必要です。

Q すでに配偶者と別居をした後の不貞行為についても、離婚事由になるのでしょうか。


  夫婦関係が既に破綻した後の異性との性的な関係については、離婚原因の不貞な行為には当たりません。
  しかし、裁判所が「夫婦が破綻していた」と考える基準は厳しく、別居後数年経過していてもまだ破綻していなかったと判断した裁判例もあります。