配偶者からモラハラを受けて辛い思いをしていても、子どもがいる場合、離婚を躊躇してしまう方は少なくありません。

そこには、「子どもから親を奪ってしまって良いのか・・・」、「経済的にやっていけるのか・・・」等、ざまざまな葛藤があります。

モラハラ加害者との関係性を考える際に忘れないでおいていただきたいことがあります。

それは、加害者の言動が子どもにも影響を及ぼしてしまうということです。

子どもは、気づいていないようでよくみていますし、子どもにとってはその環境が「普通」となってしまうため、どんなに気を付けても影響を受けてしまいます。

モラハラ加害者が子ども与える影響

実際に子どもにどのような影響が及ぶ可能性があるのか、解説します。

モラハラの加害者と同じ言動をする

モラハラの加害者は、被害者を怒鳴りつけたり、馬鹿にしたりという言動をとります。このような加害者の言動を日常の光景としてみて育った子どもは、被害者をそのように扱ってよい存在として認識し、加害者と同じ行動に出る可能性があります。

また、そのような行動が異常なものという認識が欠落していますので、被害者に対してだけでなく、他人に対しても同じような行動をとることになってしまうでしょう。

また、常に被害者に責任をなすりつけて自分を正当化をするような行動についても、子どもが無意識に身に着けてしまうものとなりえます。

例えば、学校に忘れ物をした際、その責任を「母親がきちんと確認しなかったからだ。」として、自分が悪いわけではないという考えになります。そして、「なんで、きちんと確認してくれないんだ!」と母親に怒りだす可能性もあります。

他人を傷つけていることに気づかない

被害者の人格を否定したり、怒鳴りつけたりするモラハラ行動をみてきた子どもは、他人に対してそのような言動をすることに違和感を持たなくなってしまう可能性があります。そのため、周囲の人に対して暴言を吐いても、それが悪いという認識を持つことすら難しくなってしまうことがあるようです。

その結果、言動をとがめられても自分の何が悪いのかすら分からずに、それが原因で孤立をしてしまったり、友人ができなくなってしまうこともあります。

自己主張をしなくなる

家の中で日常的に暴言等が聞こえる環境で育つと、子どもは、もし自分もできなかったら同じように暴言等の対象になると思ってしまいます。

そうすると、子どもは委縮してしまい、ありのままに自分の欲求や思いを表現することや、何かにチャレンジするようなことができなくなっていきます。また、親の言う通りにしていれば自分で考えて行動する必要がないため、自分の意見がなくなってしまいます。

結果として、自己主張をほとんどせず、自信を持つことができないままに成長してしまう可能性があります。

嘘をつきやすくなる

モラハラの様子をみてきた子どもは、加害者の気に入らない行動をとると攻撃の対象となるということが刷り込まれています。そのため、失敗が露呈することに対して、強度のプレッシャーを感じることになります。

プレッシャーのあまり、何かあっても嘘をついて完璧にこなしているように装うこととなり、素直さや正直さが失われてしまう可能性が高まります。

加害者との関係が悪くなる

怒鳴りつける等のモラハラ行動は、子どもにとって、加害者側の親が被害者側の親をいじめているようにみえるでしょう。そして、加害者側の機嫌の良し悪しに振り回される被害者をかわいそうに思います。自分もその攻撃の対象になる場合には、被害者としての理不尽さも感じるようになります。

幼いころは反抗できなくても、ある程度の年齢になると、加害者側への拒絶感が大きくなり関係が悪化していくケースも多いようです。 このような場合、子どもから被害者側の親に対して離婚をするように求められることもあります。

家での居場所をなくしてしまう

モラハラが日常となっている家庭では、子どもは雰囲気の悪さで気分が暗くなったり、話したいことがあってもなかなか切り出せなかったりして、常に親に気を遣ってしまいます。 このような常に気を張った生活は、子どもを心身共に疲弊させます。そのため、思春期になる頃には、外で友人と会う回数が増え、帰りが遅くなったり、なかなか家に寄り付かなくなってしまう可能性もあります。

モラハラの被害者は、自分に対する評価が低下してしまっていることが多く、離婚を決意して加害者のもとから離れるまでの行動をとることは容易なことではありません。

しかし、依頼者の中には、別居後にモラハラの影響で子どもが不登校になってしまう等実際の影響の大きさを実感し、「もっと早く家をでるべきだったのに・・・」と後悔する方もいます。

「子どものため」と考えていたはずなのに、結果的に子どもを悪い環境に閉じ込めてしまっていた。そのような結果にならないよう、環境を見つめなおして、まずは周囲に相談してみて欲しいと思います。