最近ニュースで取り上げられることも多くなってきたモラハラ(モラルハラスメント)。名古屋で弁護士をしている私のところにもモラハラ被害を理由に離婚相談に見える方が増えてきました。そこで、このコラムでは、これまでに相談を受けた経験をもとに、モラハラ被害を理由に離婚する方法についてご紹介します。

(DV及びモラハラにより離婚請求が認められた事例はこちらを参考にしてください。)

1、モラハラを理由に離婚するのは難しい?

離婚を希望する理由として,モラハラを訴える方は多くいらっしゃいます。しかし,裁判所が,モラハラを理由として離婚を認める例はあまりないと言われています。その原因は,モラハラに該当する言動があった事実を証明することが難しい点にあります。モラハラがあったかなかったかを争う場合には,あったと主張する側がその証明をする必要があります。当事者の供述のみでは,裁判所がモラハラに該当する言動があったと認めてはくれる可能性は非常に低いです。

2、モラハラを証明する証拠をそろえる

逆に言えば,証拠をきちんとそろえ,モラハラを証明することができれば,裁判所が離婚を認める可能性が高まります。そこで,モラハラを証明するために役立つ証拠についてご説明します。

①診断書

モラハラを受け続けている人は,うつ傾向等,心身に影響を受けてしまいがちです。その場合には,病院やカウンセリングに行き,症状が発症した経緯についてカルテや診療記録に残してもらいましょう。 診断書を作成してもらう際,原因が配偶者の言動であることを明記してもらうのがベストですが,医師がそこまで言及してくれない場合もあります。その場合には,本人の認識として,原因は配偶者の言動であると言っているという事実を記載してもらうように頼んでみることも方法のひとつです。

②相談記録

行政機関が設置している女性相談センターに相談すると,相談の記録を残してくれますし,別居の際の情報提供等の支援を受けることも可能です。 転居先の住所を秘匿する措置をとる場合でも,警察又は女性相談センターへの相談の履歴が必要になりますので,一度,相談されることをお勧めします。

③録音

問題となる言動を録音することができれば,証拠として非常に有力なものになります。 ただ,一度の録音のみだと,「わざとあおってそのような発言をさせた。」などと弁解される可能性があります。そのため,時期を空けて,何度かの録音があるとよりよいでしょう。また,見つかって削除されることがないよう,録音できたものはデータで自分のメールアドレスに送っておくなど,バックアップもとって保存しておきましょう。

④日記

その日にあった言動などを記録しておくと,自分で作成したものであっても,当時の新鮮な記憶に基づいたものになるため,離婚協議時の発言に比べて信用性があると考えられています。配偶者の言動をできる限り詳細に記録することをお勧めします。また,後で作成したことが疑われないよう,ノートであれば行間を空けないようにしたり,メールで自分のアドレス宛に送っておくなどという方法が考えられます。

⑤友人などとのLINEの履歴

LINEで他人に相談をした内容についても,証拠として使用できます(やりとりをした相手には同意をとりましょう。)。 相談した日付がわかるようにしてスクリーンショットしたものやテキスト化したものを証拠として提出します。

*注意点*

なお,自分の親や兄弟等,自分に有利な発言をして当然と思われる人の証言は,客観的な証拠とは言えないため,証拠としての価値は低いと考えられます。そのため,裁判所が証人となることを認めないことの方が多いです。

モラハラを受けていると,事実と向き合って,離婚などを考えることすら難しくなってしまうことがあります。 また,子どもがいる場合には,子どもも影響を受けてしまいます。 状況によっては,証拠の確保よりも,別居して配偶者と距離を置くことを優先すべきです。無理をせず,まず専門家や弁護士に相談をしてみましょう。