審判離婚

あまり使われないけれど、知っておきたい審判離婚

協議や調停では,当事者双方が合意をしなければ離婚は成立しません。
それでも離婚をしたい場合,裁判をすることもできますが,「調停に代わる審判」(家事手続法284条1項本文)によって解決できることもあります。

■ 「調停に代わる審判」とはどのような手続きか?
調停において、当事者双方が離婚すること自体は合意しているものの、細かな条件について合意ができない場合等に、裁判官の判断により、その点について決定を下す手続きです(家事事件手続法284条1項本文)。
この制度のメリットとしては、裁判官の判断が示されることで当事者が納得し、裁判を行うよりも早期に紛争を解決できる点にあります。
一方、この調停に代わる審判は、当事者から2週間以内に異議の申立てがあると効力を失います(家事事件手続法286条)。そのため、当事者から異議が申立てられる可能性が高い場合に審判を行っても、無意味となる可能性が高いです。

■ 調停に代わる審判の手続きに移行させる方法
調停に代わる審判を行うかどうかは、調停を担当している裁判官の判断に委ねられています。
そのため、当事者が希望をしてもその要望が必ず受け入れられるものではありません。
しかし、調停の際に、調停委員を通じて、調停に代わる審判への移行の希望を裁判官に伝え、判断を促すことになります。

■ 調停から審判に移行する際の流れ
裁判官から、提出が必要な書類などについて説明がなされますので、その要望に応じて書類などを準備することになります。
当事者双方からの書類が提出され、裁判官が判断する材料が整った時点で、審判日が指定されます。

■ 審判後の対応方法
審判の内容に納得がいかない場合には、審判の告知を受けた日から2週間以内に異議の申立てを行うと、審判が効力を失います(家事手続法286条5項)。この場合には、離婚を求めている側が離婚訴訟を提起する等して、離婚に関する紛争が継続することになります。
審判が確定したときには、確定した判決と同じ効力を持ちます(家事手続法287条)。離婚が成立した場合の手続きについては、離婚後の手続きをご参照ください。離婚が成立しなかった場合については、審判が効力を失った場合と同様です。

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