離婚弁護士と夫婦カウンセラーが「離婚とお金」についてインスタライブしました。

はじめに

下木:本日は、離婚に関する相談について森上先生にお話を伺います。離婚を考える際に重要なのは、選択肢があることです。「離婚ができない」という消極的な理由で離婚しないのと、様々な可能性を考慮した上で決断するのとでは、大きな違いがあります。

しかし、多くの方々が子どもを守るための金銭的知識や、自身の生活を守るための情報を十分に持ち合わせていないのが現状です。そこで今回は、森上先生に離婚時に得られる金銭的支援について詳しくお聞きしたいと思います。

森上弁護士:ありがとうございます。金銭的知識について、慰謝料については割といろいろ調べて詳しい方が多いのですが、そのほかにも知っておくべき重要な事項があります。特に婚姻費用について知らない方が多いので、まずはそこからお話ししたいと思います。

婚姻費用と養育費の違い

森上弁護士:婚姻費用とは、離婚前の夫婦間における生活費の分担を指します。基本的に、夫婦のそれぞれの収入や、子どもがどちらと一緒に住んでいるかということを考慮して、同程度の生活レベルが保たれるように生活費の分担が決められます。

この知識の有無が、離婚を考える過程での精神的余裕に大きく影響します。例えば、「出て行け」と言われ、生活費を払わないと脅された場合でも、法的には婚姻費用の請求権があることを知っていれば、冷静な判断が可能となります。

重要なのは、婚姻費用は、原則として、別居について同意をせず、勝手に家をでて別居になったような場合であっても発生するという点です。ただし、自身の不貞行為により別居に至った場合は、子どもの生活費は請求できても、自分の生活費は請求できない可能性があります。

婚姻費用と養育費の算定基準

下木:婚姻費用や養育費の算定基準はあるのでしょうか。

森上弁護士:はい、裁判所のホームページで「算定表」が公開されています。「養育費」「婚姻費用」「算定表」「裁判所」などのキーワードで検索すれば閲覧可能です。この表は、子どもの人数や夫婦の年齢、年収などに基づいて金額を算出します。

ただし、実際の金額は個々の状況により変動します。例えば、子どもの習い事や通学している学校の種類なども考慮されます。

養育費の支払い状況と課題

下木:実際に決定された金額が確実に支払われるわけではないのですね。

森上弁護士:その通りです。支払いが滞った場合、強制執行という手続きを取る必要があります。具体的には、給与や預金口座の差し押さえなどの方法があります。

しかし、相手の職業や経済状況によっては、強制執行が効果を発揮しない場合もあります。そのため、養育費の決定時には、将来的な回収可能性も考慮に入れる必要があります。

婚姻費用と養育費が支払われる期間について

下木:養育費の支払い期間についてはどうでしょうか。

森上弁護士:養育費の支払い期間は、成人年齢は18歳ですが、基本は20歳までです。また、親の学歴や学業の状況等によって変動します。大学卒業までや大学院卒業まで延長されることもあります。

一方、子どものいない夫婦の場合、婚姻費用は離婚するまでの期間のみ発生します。離婚後は原則として扶養義務がなくなるため、生活費としての支払いは終了します。ただし、長年専業主婦であった場合など、特殊な状況下では財産分与において配慮されることがあります。

弁護士への依頼は有効か?

弁護士の活用は、お子さんの習い事等で養育費を増額したい場合、相手が自営業者や会社経営者で収入の操作が可能な場合、支払いを拒否しそうな場合等に特に有益になることが多いです。

下木:弁護士費用と回収できる養育費の金額には、どの程度の差があるのでしょうか。

森上弁護士:養育費の総額は、子どもが小さい場合、数百万から1000万円を超えることもあります。弁護士費用は事務所ごとに異なりますが、通常、回収できた養育費の2年分程度のうち一定割合くらいです。回収が困難であることが予想される場合、リスクについては説明がありますし、弁護士に相談をして、費用面の不安も払しょくしてから依頼すれば良いと思います。
養育費が子どもの生活に与える影響は大きいので、簡単にあきらめる前に、まずは相談してみて欲しいですね。

結論

下木:養育費の支払い率が約25%と低い理由はどこにあるのでしょうか。

森上弁護士:主な理由として、そもそも取り決めをせずに離婚するケースが多いこと、相手との接触を避けたい心理が働くこと、信頼関係の崩壊などが挙げられます。しかし、たとえ月に2、3万円でも、子どもの将来に大きな影響を与える可能性があります。

制度的な改善や意識改革が必要ですが、同時に弁護士としてできることもあると考えています。経済的に困難な状況にある方々に対して、一緒に頑張りましょうと伝えたいです。

下木:本日は貴重なお話をありがとうございました。この情報が、離婚を考えている方々の助けになることを願っています。

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