離婚後の氏はどうなるのか?
氏についてはとても分かりにくいと感じる方が多いので、ここでは具体的な例を用いて、離婚と氏、そして戸籍について詳しく説明をしていきたいと思います。法律上の手続きについても触れていくことで、実際に役立つ情報をお届けします。
具体例
鈴木花子さんは田中太郎さんと結婚し、その結果として「田中花子」という氏に変えました。夫婦の間には次郎君という男の子が生まれて、幸せな家庭を築いていました。しかし、花子さんは、太郎さんと離婚することになりました。家庭の状況が変わることは多くのストレスを伴うため、気持ちの整理をつけることが必要です。
■離婚後は氏が元に戻ります
結婚により氏を変えた花子さんは、離婚によって、法律上、結婚前の氏である鈴木に戻ることになります。これには特別な手続きはいりませんので、これで不都合のない方、むしろ旧姓に戻ったほうが良いという方はそのまま何もしなくても構いません。何の問題もなく生活を続けることができます。戻す手続きがないため、名前が変わることによる混乱を避けることができます。
■婚氏続称の届け出は3か月以内に行う必要があります
離婚後、花子さんは「田中」という姓を名乗ることができます。離婚後に氏を戻すことで支障が生じる場合などは、「婚氏続称の届出」を居住する管轄の役所に提出することにより、原則として結婚している間の氏である田中を名乗ることができます。この届け出の期間は、離婚したその日から数えて3ヵ月以内です。結婚によって氏を変えた方は、離婚後、自分が名乗っていく氏をしっかりと決める必要があります。いかなる氏を名乗るかは今後の生活や仕事にとって極めて重要なことであり、大きな影響を与えることがあるからです。結婚によって氏を変えているのは多くの場合女性であるため、特に注意をしておくことが求められます。
■3か月が経過してしまった場合について
離婚から3ヵ月が経過してしまった場合でも、家庭裁判所の許可を得た上で、氏の変更の届出をすることができます。しかし、この場合は手続きが複雑なうえに、法律上「やむを得ない事由」が必要であり、すべての場合が変更できるわけではありません。そのため、離婚後に名乗る氏については、あらかじめしっかりと決めておくことを強くお勧めします。慎重に検討して決めることが重要です。
[3カ月過ぎても変更ができる理由とは]
名乗る氏を変更しなければ生活に支障を来しているといった厳格で具体的な理由が必要となります。ただ単に気に入らない、使い慣れている、などの理由では認められないため、注意が必要です。たとえば、職場での名刺や、重要な書類に使っている名前がある場合、それを変更することが難しいといった具体的な理由が必要です。
[婚氏続称の届を提出後、結婚前の氏に戻したい場合]
「やむを得ない事由」がないと結婚前の氏にすることができません。この場合、家庭裁判所の許可が必要となりますので、慎重に考えることが大切です。婚氏続称を選択した場合でも、後で元の姓に戻したい場合の手続きには複雑さが伴います。これは、特に名の重要性を理解しているからこそ、適切な選択をすることが求められます。
また、氏を変更することによって生活や仕事の環境が変わることも多いため、専門家の意見を聞くことも一つの方法です。法律の専門家に相談することで、今後の方針や手続きについて具体的なアドバイスを受けることができ、安心して新しい生活を始める手助けになるでしょう。姓にまつわる問題は大きなストレスの要因となるため、しっかりとした理解を持つことが重要です。