アルコール依存症の相手と離婚するポイント

たとえ配偶者がアルコール依存症になってしまったとしても、元々は、自分が望んで結婚をした相手であることに変わりはありません。
そのため、離婚を決意したり、離婚に向けて行動をしていく中で、いろいろな葛藤を抱えることになる方もいらっしゃいます。

そこで、アルコール依存症になってしまった配偶者と離婚をして後悔しないためのコツやポイントをご紹介します。

治療の余地がないか検討

アルコール依存症のパートナーとの離婚を決意する前に、依存症の治療方法があるかどうかを考えてみましょう。
特に、依存症の程度が軽い場合には、本人の意欲や治療の進み具合によって、依存症の治療が成功することがあります。離婚せずに治療に協力することで、夫婦の共同生活を継続できる可能性もあります。

ただ、治療に協力して夫婦関係を継続する決意をする際には、ある程度の覚悟が必要になります。アルコール依存症の治療は、専門の医療機関で長期間にわたって行われるのが普通であり、克服するのが簡単ではないからです。

愛情だけで解決するには重すぎる問題になってしまうこともあります。
離婚せずに依存症と向き合っていく覚悟があるかどうか、よく考えてみてください。

子どもへの影響を過小評価しない

アルコール依存症の親が子どもに与える影響を過小評価しないように注意してください。アルコール依存症は配偶者だけでなく、子どもにも大きな影響を与えることがあります。

前後に意識を失うほど泥酔した親の姿は、子どもに不信感を抱かせますし、酔った父親が子どもの前で母親に暴力や暴言を吐く状況は、子どもに対する虐待になります。子どもに深い心の傷を負わせるだけでなく、子どもがこうしたトラウマを抱えたまま大人になり、アダルトチルドレンとして生きづらさを感じるようになることもあります。

子どものために離婚を躊躇する人もいますが、アルコール依存症の家族がいることの弊害も無視できないものです。実際、アルコール依存症の夫や妻との離婚を決意する人の中には、子どもへの影響を心配して離婚を決意する人もいます。

弁護士に相談する

アルコール依存症のパートナーとの離婚をスムーズに進めるために、弁護士に相談することをお勧めします。問題ある飲酒行為の程度によっては、法律上の離婚事由に該当する可能性もあります。離婚が可能かどうかなど、ケースバイケースでアドバイスが可能ですし、離婚の条件についても慎重に検討することが可能です。

アルコール依存症の方は、自分が依存症であることをなかなか認めることができません。そのため、離婚を切り出したとしても、離婚に応じないケースも少なくありません。できるだけ時間をかけず、スムーズに離婚するためには、弁護士との連携が近道になることがあります。

離婚原因の証拠を確保

アルコール依存症のパートナーは、自分が依存症であると認めないことが多くあります。
そのような場合に備えて、アルコール依存症であることが客観的にわかる証拠をそろえておくと良いでしょう。泥酔してしまっている状態での行動やその頻度の多さがわかるような動画・音声、記録した日時を後で確認できるようなアプリ等での記録、女性相談センターへの相談記録等が証拠として考えられます。
泥酔時に暴力、暴言がある場合は、怪我の写真、診断書、暴言の記録、暴力を示すビデオなどを証拠とすることができます。
また、レシート、家計簿等のお金の流れがわかる書類などを保管しておくと、飲酒によって家計に影響があったことを証明できます。

さらに、子どもの親権を獲得できるように、以下のようなものがあると良いでしょう。

・子どもの前で泥酔していることが分かる写真や動画
・酔って子どもを虐待した場合、そのことが分かる写真や動画、子どもがけがをしている写真・カルテ・診断書
・親族、保育士、教師などが状況を把握している場合には、その第三者の証言

別居後は証拠を得るのが難しくなるので、まだ一緒に暮らしている間にできるだけ多くの証拠を集めるようにしましょう。

まとめ

日本には、潜在的な部分も含めて約60万人のアルコール依存症患者がいると推定されています。
依存症によって家族が深刻な影響を受けてしまうことは多い一方、周囲の支援を受けることはそう簡単ではありません。

一人で抱え込むのではなく、まずは相談機関や専門家に相談をしてみてください。

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