子どもがいない夫婦の離婚率はなぜ高い?


子どものいない夫婦の離婚率とその背景

子どもがいない夫婦は離婚率が高いと言われており、統計によっては、子どもがいる夫婦の5倍ともいわれています。子どものいない夫婦の離婚率が高いのは、離婚のハードルが低いことが大きな理由です。(子どものいる夫婦は、たとえ仲が悪くても、子どものために結婚生活を続けることが多く、離婚するとなると親権や養育費、面会交流など子どもに関する取り決めが必要になるため、離婚のハードルが高くなります。離婚しても、子どもを通じて関係が続くことが多く、きっぱりと他人になることはできません。)

本記事では、子どものいない夫婦の離婚に焦点を当て、離婚のメリット・デメリットや後悔しない離婚の乗り越え方を解説します。

子どものいない夫婦が離婚しがちな理由

まず、子どもがいない夫婦は、どのような理由で離婚しがちなのでしょうか?

主な離婚理由

子どもの有無にかかわらず、離婚理由の第1位は『性格の不一致』です。2020年の裁判統計によると、男性の59.6%、女性の37.5%(複数回答)が『性格の不一致』を離婚理由に挙げています。性格の不一致には、ライフスタイルや金銭感覚、家族に対する考え方など、価値観の不一致も含まれます。

他人同士が一緒に暮らすわけですから、お互いが譲り合って、妥協点を見つけていくことが重要です。しかし、他人から見れば些細なことでも、本人にとっては、習慣や考え方を変えることは大変なものです。その上で、話し合いの際の態度や言葉で相手からの愛情を感じられなくなったり、不信感を抱くようになり、それが解消できずに積み重なってしまうと、どんどん心の距離が開いてしまいます。

そして、子どものいない夫婦の場合、お互いのために離婚に踏み切るハードルが、比較的低くなりがちです。子どもや子どもに伴う経済的不安等ではなく、純粋に相手との関係で結婚生活を継続するかどうかを考えることができるとも言えます。

また、子どもがいない夫婦の離婚理由で最も多いのは、子どもに関する考え方の違いです。

子どもを持つか持たないかは、人生の重要な決断です。そのため、夫婦間で子どもに対する価値観が異なる場合、離婚に至る可能性が高いです。例えば、結婚前にお互いに子どもを持たないと決めていたのに、結婚後にどちらかの考えが変わった場合や、逆に子どもが欲しいと言っていたのに、結婚後に子どもが欲しいと思わなくなった場合などです。

夫婦共に子どもが欲しいと思っていて、健康上の問題がない場合でも、必ずしも子どもを授かることができるとは限りません。そのような夫婦が不妊治療を始めて、不妊治療に対する考え方の違い、協力不足、なかなか子どもができないことへのプレッシャーから、夫婦関係がこじれ、離婚に至ることがあります。

子なし夫婦が離婚するメリット・デメリット

子どものいない夫婦が離婚するメリットは、まず、離婚時に対処すべき問題が少ないことです。子どもがいる夫婦は、子どもの親権はもちろん、養育費、面会交流など、子どもにまつわる問題に取り組まなければなりません。特に、双方が子どもの親権を持ちたいと考えている場合、離婚手続きにかなりの時間がかかることがあります。

子どものいない夫婦の場合には、基本的には、離婚をすることに合意して離婚届を提出するだけで離婚できますし、離婚に伴って決める事項も、主に、財産分与や慰謝料になります。お互いに働いていると夫婦で財布を分けるケースも多く、財産分与を行わないことで合意したり、財産分与で争う必要がないことも珍しくありません。

また、人生の再出発がしやすく、再婚も子どもがいる場合に比べてしやすいという点があげられます。子どもを抱えての離婚となると、自分と子どもの生活を支えることで精一杯になり、経済的にも精神的にも負担が大きな生活となってしまうことがありますが、そのような不安は少なくなります。

さらに、相手との関係をきっぱりと断ち切ることができます。子どもがいる場合、相手から養育費を受け取ったり、子どもの面会に応じたりする必要があるため、元配偶者との関係を完全に断ち切ることは難しいことが多く、離婚後も、元配偶者との関係で大きなストレスを抱えることになるケースもあります。しかし、子どものいない夫婦の離婚では、離婚後に人間関係が完全に断ち切ることができるため、そういった精神的な負担はありません。

子どものいない夫婦が離婚するデメリットとしては、家族がなくなることによる精神的な不安、将来の生活の不安、経済的な不安等が考えられますが、どれも新しいパートナーを見つけたり、自分の生活を充実させていくことで解決は可能なように思われます。

後悔しない離婚の乗り越え方

離婚で後悔しないために大切なことは、今の相手との関係性で、できることをやりきるということです。相手との関係性が悪化してくると、どうしても、新しい相手と仕切り直した方が良いのではないか・・・という考えが浮かんでしまうと思います。

しかし、相手との関係性には、自分の性格や言動ももちろん影響を与えていますので、自分にできることをやりきらない状態で離婚を決めてしまうと、離婚して他のパートナーを見つけるに、他の人とも同じことを繰り返してしまうのではないかという不安が付きまとうことになってしまいます。

カウンセリングを受けたり、夫婦関係について勉強をしたりして、自分にできることをやりきりましょう!!

ただ、モラハラやDV等に耐えようとすることはよくありませんので、そのような可能性がある場合には、相談機関や専門家に早めに相談をしてみてくださいね。

森上未紗 弁護士
(愛知県弁護士会所属)

弁護士(弁護士法人ハレ名古屋支所)

離婚問題・相続問題に注力しています。年間離婚相談件数120件以上。「依頼者の気持ちを上向きに」精神面でもサポートし、笑顔あふれる未来に導けるように寄り添って対応いたします。

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