ここでは、モラルハラスメントに悩まれている方の中でも、離婚を検討されている方に向けて、お話しさせて頂きます。
まず、知っておいていただきたいのは、残念ながらモラルハラスメントの行為のみでは、離婚理由にならず、認めてもらうのが困難かもしれません。
基準は、「モラハラが原因で、婚姻を継続することが困難かどうか」です。
その基準を判断するために、証拠が必要となってきます。
では、どう証拠を集めていくのが良いでしょうか。順番にみていきましょう。
①録音、録画
私に暴言を浴びせてくる一部始終を録音しましょう。度を超えて物に当たる様子がわかる場面を録画しましょう。
今は、スマートフォンのボイスレコーダーなどもありますし、機材を購入しなくても出来ることはたくさんあります。相手が神経質だったり、少しでも証拠集めをしていることが相手に伝わってしまうと、スマートフォンを奪われてしまう可能性もありますので、慎重に行動しましょう。
また、ペン型のカメラなども今は売っているようです。
②モラルハラスメントを受けた時の日時、場所、状況などを細かく記したもの。
日記でも、メモでも構いません。その時の相手の様子や自分の心情も含めて、記録として残しておくことも証拠の一つとなります。
もし物に当たった場合、その傷を写真に撮って、日記に貼り付けるのもわかりやすいですね。
モラルハラスメントのことを友人でも、専門機関でも、病院でも、相談した事実があれば、レシートなどを添付して、書き残しておきましょう。
③パートナーに対して、改善を要求した事実。
こちらも証拠になります。
口頭で、改善を要求していれば、録音しましょう。今から、改善を要求する!と事前に計画して、要求するわけではないので、中々録音できる状況にないかもしれませんが、常に録音を開始できる状況を作っておくのは、自身にとって有利となりますので、覚えておきましょう。
少しのことでも、メールやLINEのやりとり、手紙も残しましょう。
④近所の方や、周りの人間の協力を得る。
これは様々な心情から、実行しにくいことではありますが、もしこれが叶えば、協力してもらい、供述書を書いてもらうことも可能なようです。
毎日忙しい中、これらの証拠を集める作業は、大変かと思います。それでも、今後の人生を笑って過ごしていくため、自分のために、しっかりと証拠を集めていきましょう。
証拠が集まってくると、自身の考えもある程度まとまり、離婚も決断しやすくなってくるでしょう。
その決断に至った時、自分でパートナーと話をしてみようとされる方もいらっしゃると思います。
ただ、今までモラルハラスメントを繰り返してきたパートナーが、私の話を充分に聴き、対等な話し合いが出来るか…と言われると、上手く言いくるめられてしまう傾向が強いように思います。
そうなると決断が鈍るだけでなく、パートナーに有利になってしまう可能性もあるので、はじめから、弁護士を頼ることを視野に入れて頂くと良いかと思います。
専門機関である第三者が入ることで、滞りなく一歩ずつ着実に進めることができるでしょう。
もちろん友人や家族などの第三者に入ってもらうことも有効かもしれません。
ただ、今までモラハラ行為をしてきたパートナーのスイッチがどのように入るかわかりません。落ち着いて話を聴ける状態になれば、幸いです。しかし可能性としては、専門機関でない第三者を挟んだ場合、激昂し、友人や家族にまで、暴言を浴びせられることもあり得ます。
はじめから、弁護士は立てておき、友人や家族にも相談に乗ってもらうのが、良いでしょう。
離婚をするには、3つのパターンが考えられます。
①協議離婚
いわゆる、話し合いです。2人きりでされる話し合いも、友人や家族を交えてする話し合いも、弁護士を含めてする話し合いもここに該当します。
おそらくこれまでも何度も様々な話し合いをされてきたことでしょう。再度、離婚について話し合いをされる形をとられても良いかと思います。ただ、モラハラの特徴として、人の話を聞かないという点があげられますので、弁護士の仲介なしで、離婚に至るケースは珍しいようです。
②離婚調停
協議離婚では、話が進まない場合、こちらに進みます。
離婚調停を開き、調停員を交えた話し合いをします。
双方の話を聴いて、中立の立場から裁判を行うものです。
③離婚裁判
離婚調停が不成立になると、自動的に審判や裁判になります。
この時に最初に記した「婚姻を継続することが困難か、どうか」が重要になってきます。
裁判の場合は、法的に別れるための理由に当てはまっているか、で判断していきます。モラハラの場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかです。
モラハラの内容、度合い、様々な影響について、客観的に証明していく必要がありますので、事前に集めていた資料をもとに、弁護士と二人三脚でしっかりと対応していきましょう。
どんな些細なことでもパートナーが伝えてきたことは、自分で何とかせず、弁護士の判断を仰ぎましょう。
もし子どもがいる場合は、親権獲得も同時進行に動くと良いでしょう。